動員主体なき動員の場合には動員される当事者たちの行動次元では統一的な目的は存在しません。
もし何らかの目的があるとしても、それはせいぜい第三者としての分析者が当事者たちの活動状況を一定の視座から分析的に解明する際に設定する・・・
その解明目的くらいのものということになります。
「動員主体なき動員」というのは、当事者たちの活動状況を分析者の視座から捉え返すための分析用具ないし概念装置にほかなりません。
分析者は当事者たちの営み、活動や力の展開過程を独自の立場から意味づけ直します。
バーナードは、電力や磁力の作用する場である電磁場になぞらえて組織を「人力の場」と呼んでいました。
バーナードがこういう言い回しを用いるのは、「組織」の定義にもとづくことです。
簡単にいえば「組織」を人の集まりとして捉えるのではなしに、人の活動や力のシステムとして捉えるという考え方にもとづいています。
場の概念を持ち出すのも、人ではなく人の力を強調したいからです。
電磁場のなかに置かれた物体そのものが場なのではないのと同じく、人そのものの集まりが組織なのではないという点を強調しようとしているわけです。
この「人力の場」カテゴリーはバーナードのいう「組織」よりも広義です。
重力の場や電力の場や磁力の場はすべて一括して作用場と呼ぶことができます。
力は作用ですから、力を問題にするときには場の概念がふさわしいでしょう。