マーケティングや政治活動のようなケースでは、あえて「組織」という語を用いなくても、たとえば「動員」という語を用いればすみますし、またそのほうがベターでもあります。
いずれにしても、それらの場合には動員を目論む者-動員主体-がだれであるかを特定することができます。
たとえそれが個人ではなく人間集団である場合でも動員する側と動員される側との区別は明瞭に存在しています。
社会学用語としての「動員」は、「社会資源(財、動機づけられた行為、知識・技能など)を特定化された目標に向けて投入する過程」と定義されていますが、ここでもむろん動員主体の存在は含意されています。
そういうたぐいの動員が複雑多様な形で重なり合い交錯していることが現代社会のひとつの特徴といえるでしょう。
しかし、そのような指摘を行なうだけでは現代社会の特徴づけとして不十分です。
むしろ動員主体なき動員こそが、現代社会の仕組みと人間状況を特徴づけるのです。
「組織」は、バーナード流の定形組織はもとより無定形組織の場合でも多かれ少なかれ目に見えるものです。
・・・というよりもむしろ、人々の寄りつどいや接触、相互作用簡単にいって関係が目に見える形で成り立っているものを組織と呼んでいたのですから、それは当然のことです。
・・・とはいえ、そうした可視組織の視点からだけでは現代社会の特質を捉えることはできません。